断熱材ネオマフォームは施工が簡単で高性能

「ネオマの家」開設1周年企画:つくり手たちが語る。知って欲しい、「あたたかい住まい」が実現した心地よさとその理由 vol.4

「ネオマの家 IBARAKI SAKAI モデル」が完成して1年が経ちました。「ネオマの家」が目指した温熱環境と心地よさの検証をすべく、このプロジェクトに関わっていただいたみなさんに集まっていただき、設計・施工を振り返りながら、実現できた「あたたかい住まい」の魅力とこれからを語っていただきました。

前回までの対談はこちら。

簡便な施工、高断熱ならではの納まり

白石—-今回は、ネオマフォーム90㎜という厚い断熱材を用いていただきました。その施工に関してはどうでしたか。

高橋—-私は断熱オタクなので(笑)、これまでありとあらゆるものをいろいろ試してきました。その結果、計算上は同じでもネオマフォームの外張りが一番あたたかかった。ネオマフォームという断熱材の性能の良さはピカイチで、なにしろ施工が楽ですね。「施工が簡単で高性能が得られる」という点が素晴らしいと思います。他の断熱材は施工技術が必要だったり、手順が面倒だったりするので。

施工に関しては、断熱ライン、気密ライン、防湿ライン、この3つのラインをきちんと連続させることが一番重要なこと(※1)。ネオマフォームはパネルで外張りなので、ただ並べて躯体をくるんでしまえば断熱ラインはOK。気密ラインに関しても、きれいにネオマフォームが並ぶのでそこにテープ処理だけすれば、自然にラインが連続してとれていっちゃう。防湿ラインに関しては、もともと水分を吸う材料じゃないので、あまり考える必要はない。

繊維系の断熱材はどうしても防湿フィルムが必要となるんですが、その施工が面倒だし、施工精度が悪いと湿気が上がってきて内部結露を起こしかねない。施工精度は大工さんによってすごく変わってしまうので、それをきちんと管理できるかという工務店のたいへんさもある。そういう点でネオマフォームだとほとんど問題になることがないですね。

だから、工務店の質をあまり問わない材じゃないでしょうか。慣れはもちろん必要でしょうけど。今回は特に、誰でもつくれる方法でやってください、という要望があったので、一番簡単な方法で施工しています。それでも、これだけの性能(UA(※2)0.20、C値(※3)0.12)が出ているのは、すごいですよね。

ネオマフォームの施工。
ネオマフォームの施工。

白石—-性能の良さだけでなく、施工性の良さも、もっとアピールしてもいいでしょうか?

高橋—-十分言えると思います。今、どんどん高断熱化が進んでいて、充填断熱だけじゃすまなくなって、付加断熱もし始めているのですが、付加断熱するときに繊維系断熱材などは木の桟をつけてはめていく、というようにすごく手間と時間がかかるし、その木が熱を伝えてしまうというマイナスもある。雨など施工時の気象にも気を遣うし。

でもネオマフォームは、手間がかからないから施工も早い。この家の場合は、壁は2日、屋根も1日くらいでした。大工さんの人数が通常よりも多かったというのもありますが、これだけの高断熱がトータル約3日で断熱施工できました。ハンパ(端材)が出てもそれをまた次に置いていけばいいので、無駄も出ません。

外張りでは継ぎ目に気密テープを張り、家全体をネオマフォームで包む。
外張りでは継ぎ目に気密テープを張り、家全体をネオマフォームで包む。

御前—-施工的なノウハウはそれほどたいへんなものではないので、一般的な技術のある工務店さんであれば対応できると思いますが、断熱材が厚くなることで、それにからむディテールについては設計で気をつけないと意匠的に残念なことになってしまいますね。外壁にからむ納まりのデザインについては考慮が必要だと思いました。

高橋—その点では、窓の付け方でだいぶ変わってきますね。窓を壁の外側につける場合と、内側に引っ込めてさらに熱損失を少なくしようという場合があります。内側につけると、外から見た時に出っ張りが無くなり壁と窓が面一になって納まりがきれい。室内側も壁の分厚さが見えるので重厚感が出て、安心感もあります。

サッシは壁の内側に納めたので外観はすっきり、断熱性能も上がる。
サッシは壁の内側に納めたので外観はすっきり、断熱性能も上がる。
ダイニングの窓も壁の厚みを生かし、ロールスクリーンを上部内側に仕込んで全開した時にすっきり全部納まるようにした。
ダイニングの窓も壁の厚みを生かし、ロールスクリーンを上部内側に仕込んで全開した時にすっきり全部納まるようにした。

橘田—-その壁の厚みを生かした内装も今回は考えました。キッチンの小窓や腰高窓を出窓風にしたんです。特にキッチンの小窓は、壁の厚み分、カウンターを延ばしています。そうすることでカウンター面が広くなって、使い勝手もよくなる。腰高窓もちょっと飾れるスペースが生まれる。この建具の位置と納まりについては御前さんとだいぶ議論しましたね。細かなところですが、日々の暮らしや人の心情にも影響を与える大切なところだと思います。そういうところも見ていただきたいですね。

キッチンの小窓は、壁の厚みを生かしてカウンターを伸ばして出窓風に。
キッチンの小窓は、壁の厚みを生かしてカウンターを伸ばして出窓風に。

※1:断熱材の施工では、熱が逃げないように断熱材を切れ目なく施工すること、室内からの漏気を防ぐために隙間をなくし気密を切れ目なく連続させて施工すること、壁の中に湿気が入らないように防湿層を切れ目なく施工することが、とても重要なポイント。この切れ目なく施工する層のことを、断熱ライン、気密ライン、防湿ラインと言う。
※2:UA値—-外皮平均熱貫流率(W/m2・K)の略称。換気を含まない、外壁・床・天井・屋根・窓などの面を貫通して逃げる熱を外皮面積で割ったもの。
※3:C値—-気密性能を示す数値で、延床面積あたりの隙間量(㎠/㎡)。

▼「ネオマの家」すぐれた断熱性能が、あたたかい住まいを実現する要http://www.atatakazoku.com/kaitekilab/houseofneoma/ibraki-sakai-model/119

座談会参加者

白石真二<しらいし・しんじ>
旭化成建材株式会社 快適空間研究所 所長
大塚弘樹<おおつか・ひろき>
旭化成建材株式会社 快適空間研究所
御前好史<みさき・よしふみ>
一級建築士/株式会社みさき建築研究所 代表取締役
旭化成工業株式会社(現旭化成株式会社)住宅事業部から建築設計事務所を経て独立。住宅の性能とデザイン、機能性を確保しながらも、合理的な方法で様々な無駄を省く設計監理を続けている。
[株式会社みさき建築研究所] http://misakiarch.com
高橋慎吾<たかはし・しんご>
一級建築士/高橋建築株式会社 代表取締役、パッシブハウスジャパン相談役
職人が社員の技術集団の工務店の社長。自らも大工を経験し今も現場作業も行う。「寒い家は壊される」ということに気づき、壊されない長持ちする家を作るため高断熱に取り組み始め、今に至る。寒い秩父の地に有りながら無暖房で暮らせる「秩父パッシブハウス」を建築。現在はパッシブハウスレベルの建物を最低の目標と定め、暖かい省エネな家を作り続けている。
[高橋建築株式会社]http://www.ta-k.jp
 

橘田洋子<きつだ・ようこ>
デザインディレクター ・ インテリアアーキテクト/株式会社シトラス 代表取締役、駒沢女子大学 人文学部 住空間デザイン学科 特任教授
東京ガス都市生活研究所、リビングデザインセンターOZONEを経て、マンションのリノベーションデザイン、店舗・ショールーム・インテリア商品などのディレクション&インテリアデザインなどを手がけている。生活者視点のロングライフデザインを目指し活動をしている。